ホリデイ・イン・ゴールデン・マイル
ホリデイ・イン・ゴールデン・マイルは、香港の尖沙咀の中心に位置し、ショッピングやナイトライフで有名なエリアです。ここでは、地元住民、東南アジアからの訪問者、観光客が交わり、文化、消費、活動の融合によって香港で最も活気のある場所のひとつとなっています。ホテルの隣には、映画『恋する惑星(Chungking Express)』で知られる重慶大厦があり、電子機器販売店、隠れたレストラン、個性的なゲストハウスが密集するこの場所は、尖沙咀の混沌と多層的な魅力を象徴しています。
本プロジェクトでは、稼働中のホテルの11階~15階にある156室の客室を改装しました。尖沙咀の強烈な都市環境を前提としつつ、ホスピタリティの最優先事項であるゲスト体験とのバランスを取ることが課題でした。街の喧騒や刺激的な環境からホテルへと戻ったゲストが、静寂と快適さを最大限に味わえる「都会の避難所」のような体験を提供することを目指しました。この空間的な変化は段階的に進みます。ネイザンロードやモディロードの喧騒から、ホテルのメインロビー、エレベーター、客室フロア、廊下を経て、最終的にプライベートな客室空間へと移行。客室は木材仕上げを主要な素材とし、ミニバー・パントリー・ワードローブ・ヘッドボードにメタリックなアクセントを加え、洗練された美しさと機能性を両立するデザインとなっています。
装飾照明や家具は、ゲストが異なるスケールで都市の密度を感じる体験を提供し、光の透過や構造の交差する要素によって、多層的な環境を表現しています。また、選び抜かれた写真作品は、都市の「密度」を単なるパターンへと変化させ、違った視点やスケールで楽しめるように設計されています。新しい客室は、ゲストが「混沌の中の秩序」「緊張の中の静寂」「複雑さの中のシンプルさ」を見出す機会を提供する空間として設計されています。